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カテゴリー「人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ」の10件の記事

2018年1月25日 (木)

Before Sunday silence

 競走馬は圧倒的な成績を残さない限り、長く語り継がれることは難しい。後世に名を残す馬は、自身の競走成績よりも、むしろ種牡馬としての成功が名声を高める。

 競馬歴30年になるが、「Before Sunday silence」(サンデーサイレンス産駒出現前)の時代を数年しか知らない。

 1月22日 1994年のマイルGⅠを2勝したノースフライト(父トニービン)が亡くなった。1990年4月12日生まれの28歳だった。

 彼女が同一年のマイルGⅠを連勝する2年前、ダイタクヘリオス(父ビゼンニシキ)はマイルチャンピオンシップ(GⅠ)とマイラーズカップ(GⅡ)をそれぞれ連覇(1991年・1992年)した。マイル戦は9戦7連対の名マイラーだった。

 ダイタクヘリオスは種牡馬として2000年のスプリンターズステークスを勝ったダイタクヤマトを遺した。ダイタクヤマトはそのレースを出走16頭中16人気で勝利した。単勝倍率は257.5倍。2着はアグネスワールド(同2.1倍)、3着はブラックホーク(同4.2倍)で、両GⅠ馬を封じての勝利だった。

 競馬ファンは最低人気の馬が勝利する可能性があることを知っている。その単勝馬券を的中させる人は“ギャンブラー”かもしれないが、「ダイタクヤマトの可能性を排除しなかったこと」の見返りに高配当を手にする。

 あれから17年が経ち、GⅠ馬ダイタクヤマトの行方は知られていない。サンデーサイレンスの血脈は隆盛し、父系にヘリオスやヤマトの名を見つけることは困難になっている。

    人気のない者が勝利する可能性を知っている  人気のない者が勝利する喜びも知っている

    勝者は勝者のまま人生を終えるとは限らない  人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ

2018年1月20日 (土)

AJCC

Jra201801 競馬ファンをやっていると、JRAのレースで季節を感じるようになる(写真はJRAのHPから)。 春の桜花賞、秋の菊花賞は、季節を代表する花の名がレース名に冠されている。レースそのものが季節の風物詩でもある。

 新潟に住む身にとって、新潟大賞典は田植えの季節の到来を感じ、関屋記念は盛夏の到来を感じる。そして明日の「AJCC」は寒さをイメージするレースだ。

 雪国の住人でない人は不思議に思うかもしれない。こちらは雪に囲まれ、曇天・荒天で冬が明ける気配もない日が続くのに対し、この時期の中山競馬場はたいがい晴天で、いつも恨めしい思いをしながら観戦する。

 AJCCはアメリカジョッキークラブカップの英語表記の略。他にも京成杯AH(オータムハンデキャップ)、京王杯SC(スプリングカップ)、サウジアラビアRC(ロイヤルカップ)などは競馬新聞を手にとった者でなくてはわからない。  

 今日は大寒。AJCCでは春の大レースを見据えた馬たちが始動する。

   春、羽ばたくため、大寒に始動する   人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ

2017年12月30日 (土)

ベスト10ホース

 中央競馬はホープフルステークス、地方競馬は東京大賞典の両GⅠ競走が終わり、今年の全日程を終了した。GⅠ昇格初年度のホープフルステークスを勝ったのはタイムフライヤー(父ハーツクライ)。8/6の新潟デビューでロックディスタウンの2着だった馬。阪神JFは8/20の新馬戦を勝ったラッキーライラック(父オルフェーヴル)が勝利。新潟デビュー馬が立て続けにGⅠを制した。来春のクラシックが楽しみになった。

   http://kasa.air-nifty.com/blog/2017/08/2017-f55a.html

 有馬記念はキタサンブラックが有終の美を飾った。予想は真っ先に外した2頭が1着・2着するという悲惨な結末だった。

   http://kasa.air-nifty.com/blog/2017/12/2017-f2e8.html

 今年の競馬といえばキタサンブラックということになる。2年連続の年度代表馬も確定だろう。ディープインパクトの「兄の息子」が叔父を抜き、16年間賞金王の座にあったテイエムオペラオーも抜いて、獲得賞金歴代トップになった。競走馬としての成績は20戦で1着12回、2着2回、3着4回、着外2回。5番人気以内で出走したレースは17戦のうち16戦で馬券対象だった。キタサンブラックは2015年1月31日に東京競馬場の芝1800㍍でデビューしている。その時のジョッキーは後藤浩輝騎手(翌月の2月27日に逝去)だったことも、競馬ファンは忘れないでいたい。

 キタサンブラック、テイエムオペラオー、ディープインパクト。いずれも強い馬なのだが、自分が「ベスト10ホース」を挙げるとしたら、1頭も入らない。やはり「勝たせてもらった」とか「馬券を握りしめて応援した」とか、何らかの体験をさせてくれた馬でないと心に刻まれないのかもしれない。これらの名馬たちは自分のような「本命軽視」の天の邪鬼には向いていない。自分にとっての「ベスト10ホース」をあまり考えることなく列挙してみる。

 1.オルフェーヴル  新潟での新馬戦を目撃した。2011年、震災の年の3冠馬。阪神大賞典の逸走劇、有馬記念の圧勝劇、そして凱旋門賞2年連続2着。すべてが偉業だ。

 2.キングカメハメハ  土埃(つちぼこり)が舞うダービーで、4コーナーを曲がると、馬群は扇のように開いた。過酷なレース展開の中から、1頭だけ力強く抜け出してきた“カメハメハ大王”。この後、この年のダービー出走馬の多くが、脚部の不安に悩まされた。それほどタフなダービーで、キングカメハメハが走ったタイムはダービーのレコードだった。

 3.エルコンドルパサー  1998年に3歳で制したジャパンカップが鮮烈。これが日本では最後のレースになり、翌年の凱旋門賞で2着した。日本調教馬としてレーティング最高値134ポンドの評価を得た。7歳で早逝。

 4.アグネスタキオン  皐月賞は“最も速い馬が勝つ”と言われるレース。その意味がわかった。「光速の素粒子」という馬名に偽りがない。

 5.デュランダル  勝利したレースに限らず、2着のレースぶりが凄い。最後方から必ず豪脚で伸びてくる。「一番強いのは誰か」を常に証明していた。 

 6.スペシャルウィーク  「日曜の沈黙」という父から産まれた「特別な週」という馬名。彼を産んで死んだ母の逸話。黒鹿毛の馬体。武豊をダービージョッキーにした馬。自分にとって唯一の「アイドルホース」。17戦中、16戦で3着以内だった。

 7.フジキセキ  サンデーサイレンスの初年度産駒。同世代でサンデーの血を引く皐月賞馬・ジェニュイン、ダービー馬・タヤスツヨシよりも強かったはず。菊花賞(マヤノトップガン)も有り得た。クラシックに1戦も出ていないが、それでも“幻の三冠馬”。

 8.シンボリクリスエス  「天皇賞・秋1着 → ジャパンカップ3着 → 有馬記念1着」を2年続けた。このレースの馬券は4勝2敗だった。すべてシンボリクリスエスから買っていたからだ。15戦中14戦で3着以内。

 9.タイキシャトル  自分に「競馬は簡単だ」と勘違いさせた馬。なぜなら、この馬を買っていれば馬券が当たるから。

10.カンパニー  8歳で天皇賞・秋を制した。他のどの馬が8歳の天皇賞を勝てただろう。唯一無二の馬。

 若い頃の1990年代の馬が多い。黒鹿毛も多い。かなり見た目重視になっている。

 ※ジャパンカップ等の外国馬(例えばアルカセット、ピルサドスキー、スノーフェアリーなど)は除く。

2017年12月19日 (火)

最強世代はどこへ

 週末はクリスマス。そして有馬記念。出走登録数はフルゲートぴったりの16頭。出走予定馬のレベルも決して高くない。

 昨年の2016年クラシック世代は「最強世代」と呼ばれていた。長年、競馬ファンをやっているので、この種の競馬マスコミのあおりには慣れている。彼らはあおるのが商売だ。それにしても、その最強世代はどこへ行ってしまったのか。

 昨年の皐月賞馬ディーマジェスティは11月に引退。ダービー馬マカヒキは昨年の凱旋門賞後低迷、菊花賞と有馬記念を勝ったサトノダイヤモンドは今年の凱旋門賞の後、レースに出走していない。おそらくこの世代の最強馬は牝馬のシンハライト(同世代牝馬とのみ対戦 6戦5勝)だと思うが、これも既に引退した。

 2015年世代はキタサンブラック(父ブラックタイド)が幅を利かせているが(もちろんそれだけの名馬ではあるが)、ドゥラメンテ(父キングカメハメハ)に敵わなかった。つくづく、ドゥラメンテの引退(4歳の宝塚記念2着が最後のレース)が惜しまれる。

 競馬に関わる人々は競馬を盛り上げたい思いがある。競馬は、経済・産業としての側面を持っている。そんな勢力の中で、最も競馬ファンに近いのが競馬マスコミ。しかし、実力のない世代を、“最強”ともてはやすだけでは、国内で通用しても、海外では通用しない。最強世代のダービー1着馬は昨年、2着馬は今年の凱旋門賞でそれぞれ惨敗した。

 自分の感覚では1998年のクラシック世代(スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダー、セイウンスカイ、キングへイロー…)が最強だと思っている。しかし、客観的に「各世代の中央競馬GⅠ勝利数」で比較すると「2012年世代」、「2007年世代」、「2002年世代」、「1997年世代」が平均以上の勝利数をあげている。

 2012年世代 ゴールドシップ、ジェンティルドンナ、ジャスタウェイ、フェノーメノ、ディープブリランテ

 2007年世代 ウオッカ、ドリームジャーニー、ダイワスカーレット、スクリーンヒーロー

 2002年世代 シンボリクリスエス、アドマイヤドン、ヒシミラクル、デュランダル、ゴールドアリュール

 1997年世代 サニーブライアン、タイキシャトル、メジロブライト、メジロドーベル、ステイゴールド

 こうして見ると、ある法則性があるように思える。 ①5年毎の法則 今年の2017年世代に当てはまるのではないか。 ②強い牝馬 古馬混合G1を勝つような牝馬かいる世代は強い ③多頭数G1馬 同一世代で多くのG1馬を輩出する世代。1997年クラシック世代は前記のほか、サイレンススズカ、シルクジャスティス、ブラックホーク、シーキングザパール、ダイタクヤマト等々。

 今年は5年毎の法則が適用される2017年。古馬G1で2016年世代と2017年世代が対戦するレースでは2017年世代を上位にとりたい。これは「2018年馬券購入の掟」にすると同時に、週末の有馬記念から適用しようと思っている。

2017年11月19日 (日)

ファインモーション

 平野部では初雪になった。「雪の妖精」という美しい名を持つ強い牝馬がいた。自分にとっての最強牝馬はスノーフェアリーだと記した。

    http://kasa.air-nifty.com/blog/2017/10/post-ba84.html

 最近10年を振り返れば、ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、ジェンティルドンナ、ショウナンパンドラ、マリアライト…牡牝混合の古馬GⅠを勝つ牝馬が珍しくない。

 強さの比較はできないが、衝撃度という点で、ヒシアマゾン、エアグルーヴ、ファインモーションの3頭が印象に残っている。

 ヒシアマゾン(父Theatrical)の走りは狂気的に映った。フローレンス・グリフィス・ジョイナー(アメリカ陸上選手 1988年ソウルオリンピック金メダリスト 女子100㍍世界記録保持者)が走る姿に重なった。次元が違った。

 エアグルーヴ(父トニービン)は1997年秋の3戦が忘れられない。天皇賞1着→ジャパンカップ2着→有馬記念3着。天皇賞で並み居る牡馬を退け、ジャパンカップではピルサドスキー(その年のアイルランド・チャンピオンステークスとイギリスのチャンピオンステークスの覇者)の2着だった。世界に肉薄した。

 ファインモーション(父Danehill)は外国産馬。馬名に偽りのない、躍動感溢れるフォームが印象的だった。兄が前述のピルサドスキーで、繁殖用として購入されたデインヒル産駒の輸入牝馬だった。しかし、引退後のファインモーションは受胎不可能な体質であることが判明し、当初の購買目的を果たすことはできなかった。 

 今日はGⅠマイルチャンピオンシップ。ファインモーションは2003年が2番人気で2着、引退レースとなった2004年が2番人気で9着。勝った馬は両年ともに日本競馬の5指に入る名マイラー・デュランダル(父サンデーサイレンス)だった。デュランダルとファインモーションの配合馬を見たかった。

  人知を超えた領域がある  人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ

2017年10月30日 (月)

2017年の新潟競馬

 台風22号が太平洋側を北上、昨晩からの強風でベランダの鉢が倒れていた。強風は「木枯らし」。秋と冬がせめぎ合っている。

 昨日の天皇賞はキタサンブラックが不良馬場やゲートの出遅れをものともせず、春秋の天皇賞を連覇。彼にとってこのGⅠ6勝目の勝利は大きい。3歳春、3歳秋、4歳春、4歳秋、5歳春、5歳秋と自身のすべてのシーズンで重賞を勝ち、うち5つのシーズンでGⅠを勝利した。今年は春秋の天皇賞、春秋の2000㍍GⅠを勝利。不良馬場も克服。強い馬の1頭から、名馬の域に達した。この後、ジャパンカップ、有馬記念の2戦で引退が決まっている。一昨日、「天皇賞・秋の勝ち馬には“選ばれし馬”が並ぶ」と記した。まさに選ばれし馬が勝利した。

 昨日で2017年の新潟開催が終了。先週の菊花賞も記憶にないくらいの不良馬場だったが、夏の新潟1000万条件戦を勝っていた馬が1着・3着した。

  キセキ(父ルーラーシップ) 信濃川特別1着 → 神戸新聞杯2着 → 菊花賞1着

  ポポカテペトル(父ディープインパクト) 阿賀野川特別1着 → 菊花賞3着

     http://kasa.air-nifty.com/blog/2017/09/post-074b.html

 【春開催】 新潟大賞典を勝ったサンデーウィザード(父ネオユニヴァース)は屈腱炎で戦線離脱。早苗賞を勝ったセダブリランテス(父ディープブリランテ)は次戦でラジオNIKKEI賞を勝ったが、菊花賞は回避。次週のアルゼンチン共和国杯で戦列復帰する。

 【夏開催】 8/6のハイレベルな新馬戦を勝利したロックディスタウン(父オルフェーヴル)は、次走・札幌2歳Sも強い勝ち方をした。その新馬戦2着のタイムフライヤー(父ハーツクライ)は萩ステークスを4馬身差で快勝している。8/20の新馬戦を勝ったラッキーライラック(父オルフェーヴル)は、昨日、アルテミスS(GⅢ)で重賞を勝利。ロックディスタウンとラッキーライラックの2頭には「新潟デビューのオルフェーヴル産駒の牝馬」という共通点がある。父に続いてクラシック制覇を目指して欲しい。9/2の未勝利を勝ったオウケンムーン(父オウケンブルースリ)は新潟芝2000㍍の2歳レコードタイムだった。次戦以降、坂のあるコースでの走りに注目。9/3の新馬戦を勝ったサンリヴァル(父ルーラーシップ)は、次走・芙蓉Sでファストアプローチやトゥザフロンティアらの良血馬を下した。こちらは牡馬クラシック路線に乗って欲しい。8/13の新馬戦を勝ったルヴァンスレーヴ(父シンボリクリスエス)は、昨年、エピカリスが圧勝したレースのリプレイを見るかのように後続を大きく引き離して勝利。2戦目となった先週のプラタナス賞も完勝した。同厩舎のエピカリスに続き、ベルモントSへの道を歩んで欲しい。そのエピカリスはベルモントS出走取消後の舞台となったレパードSを惜敗。「この夏開催最大の勝負レース」だっただけに、ルメール騎手にしては弱気な騎乗が残念だった。今年の「新潟デビュー組」は、例年以上に素質馬・期待馬が多い。来春がとても楽しみになった。

 【秋開催】 初ダートの1800㍍未勝利戦を圧勝したタイキフェルヴール(父フリオーソ)は、来夏、レパードステークスに帰ってきて欲しい馬。女性騎手の年間最多勝利記録を更新した藤田菜七子騎手は12勝中8勝(10/29現在)を新潟開催であげた。昨日は自身初めての騎乗停止処分も。

  王道を進んだからといって栄冠を獲得できる訳ではない  人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ

2017年10月29日 (日)

天皇賞・秋 記録と記憶 2

Heavenly_romance 競馬の思い出話は長くなる。昨日は「記録」、今日は「記憶」に残る天皇賞・秋。

 第118回(1998年11月1日)の天皇賞でサイレンススズカ(父サンデーサイレンス)の悲劇が起こった。6連勝で臨んだこのレースで故障し、安楽死となった。当時から、“新潟応援馬券”を勝っていた自分は、思いがけずこのレースの馬連を的中した。勝ったオフサイドトラップ(父トニービン)は前走で新潟記念を制していたからだ。2着はステイゴールドだった。

 第120回(1999年10月31日)の天皇賞は、武豊にダービージョッキーの称号を与えたスペシャルウィーク(父サンデーサイレンス)が制した。スペシャルウィークは、その出生時に物語を持つ馬。30歳を過ぎたこの頃は、自分の競馬熱がピークにあった頃。そんなこともあって、馬券を買えば的中する(17戦14連対)この馬は、自分の好きな馬・ベスト3に入る、思い入れの強い馬だ。

 第132回(2005年10月30日)ヘブンリーロマンスが勝った天皇賞は競馬史上初の“天覧競馬”だった。

 天皇賞は1905年(明治38年)、明治天皇からの下賜による「菊花御紋付銀製花盛器」をかけて実施された「エンペラーズカップ」が前身。この年の天皇賞は「エンペラーズカップ100年記念」として行われ、史上初めて天皇皇后両陛下が観戦する中で実施された。この歴史的一戦を制したのが牝馬で14番人気の伏兵ヘヴンリーロマンス(父サンデーサイレンス)だった。レース後、松永幹夫騎手は両陛下がお立ちになる正面スタンドに向かって、馬上でへルメットを脱ぎ、深々と一礼した。ヘブンリーロマンスという馬名は「神々しい恋愛」という意味を持っていた。

 テイエムオペラオー、アグネスデジタル、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、ダイワメジャー、ウオッカ、ブエナビスタ、ジャスタウェイ、モーリス…。やはり天皇賞・秋の勝ち馬には“選ばれし馬”たちが並んでいる。

  “選ばれし者”が勝つ  人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ

2017年10月28日 (土)

天皇賞・秋 記録と記憶 1

 明日は競馬の天皇賞。天皇賞は春と秋に行われるが、季節だけでなく、開催される競馬場と距離が違うため、それぞれ「天皇賞・春」、「天皇賞・秋」と表記される。天皇賞・秋は数あるGⅠレースの中で、最も好きなレースだ。

 よく「記録と記憶」と言われる。自分にとっての天皇賞・秋の記録について。

 第114回(1996年10月27日)を勝利したバブルガムフェロー(父サンデーサイレンス)は、史上初めて3歳(旧齢4歳)で天皇賞を制した。クラシック競走に拘らず、馬の適性で出走レースを選択する藤沢調教師のスタイルが認知されたレースでもあった。また、同期の武豊に遅れること8年、蛯名騎手にとって初めてのGⅠ勝利だった。

 第116回(1997年10月26日)のエアグルーヴ(父トニービン)は、前年覇者バブルガムフェローを抑え、牝馬として17年ぶりに天皇賞・秋を制した。

 第140回(2009年11月1日)を制したカンパニーは天皇賞を8歳で制し、GⅠ初勝利となった。8歳馬による平地GI競走制覇はJRA史上初。この年限りで引退したカンパニーは、ラスト3戦の毎日王冠→天皇賞→マイルチャンピオンシップを3連勝して現役生活を終えた。馬齢による短絡的な判断によらず、個体差ある馬の成長曲線や能力水準を適切に評価した音無調教師の眼と腕もあった。もし、「名馬10選」というものがあれば、自分はこの馬をその選考から外さない。

 第144回(2011年10月30日)を制したトーセンジョーダンの勝ち時計1分56秒1は2008年にウオッカが記録したレコードを1秒1更新し、芝2000㍍の日本レコードを0秒3更新する究極のレースだった。このレースでは7着までの馬が天皇賞レコードを更新し、3着までの馬が日本レコードを更新した。そして、記録的な走破時計となった影の立役者は、前半1000㍍を56秒5でレースを牽引したシルポート(父ホワイトマズル)だった。

  潜在能力はライバルによって引き出される 潜在能力は管理する者によって引き出される  人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ

2017年10月21日 (土)

スノーフェアリー

 明日は競馬のクラシック最終戦・菊花賞。菊花賞には牝馬も出走出来るが、実質的に牡馬のもの。戦中・戦後の一時期には牝馬が出走、牝馬が優勝した記録を見つけることができる。

 自分にとって最強牝馬は、2010年・2011年のエリザベス女王杯を連勝した「スノーフェアリー」(父インティカブ)だ。今年の凱旋門賞を勝ったエネイブル(父ナサニエル)など、欧米には“バケモノ”がいる。しかし、日本の競馬場で走っていない以上、自分にとっての最強牝馬には推せない。

 スノーフェアリーは1歳馬のセールに上場されたが、1,800ユーロ(当時のレートで約23万円)でも落札されず、生産者の主取り(ぬしどり…セリ取引で買い手がつかないか生産者の希望額に満たない場合、生産者が値段をつけて当該馬を引き取ること)となるなど、競走馬として市場の評価は低かった。

 しかし、スノーフェアリーはイギリスのオークスとアイルランドのオークスを連勝し、その評価を一変させる。更に日本のエリザベス女王杯に遠征してきたが、同レースの人気は4番人気にとどまった。自分は当時、アイルランドのオークスを動画サイト「YouTube」で観て、迷わずスノーフェアリーから馬券を買うことにした。その理由は、丘のように起伏があり、まるで“草むら”のような芝コースを、牧羊犬のように走るスノーフェアリーを観たからだった。

 レースの1番人気はその年、牝馬クラシック3冠を制していたアパパネ(父キングカメハメハ)だった。アパパネは同世代のGⅠを4連勝していた。「(2㌔斤量差がある)日本の古馬には通用しても、同じ3歳のスノーフェアリーには勝てない」という読みだった。その読みは的中した。

 スノーフェアリーは、2010年にイギリスとアイルランドのオークスを連勝。2010年・2011年のエリザベス女王杯を連勝。2010年香港カップ優勝、2011年凱旋門賞3着、2012年アイルランド・チャンピオンステークス優勝。イギリス、アイルランド、フランス、香港、そして日本で走り、獲得賞金はおよそ5億円に達した。スノーフェアリーの物語は、多くの競馬サイトで特集されている。

 今週の菊花賞に出走するブレスジャーニー(父バトルプラン)は270万円で取引された馬(2015年 北海道サマーセール)。この馬も市場評価は低かったが、すでにサウジアラビアRC(G3)、東京スポーツ杯2歳S(G3)と重賞を2勝している。その後、ケガによる長期休養、生産牧場の倒産、美浦から栗東への転厩等々、物語を持っている。「Bless the journey」(旅を祝福する)という馬名もいい。

 ブレスジャーニーと生い立ちは違うが、夏の新潟で信濃川特別(1000万条件 2000㍍)を勝ったキセキは神戸新聞杯をダービー馬レイデオロの2着して菊花賞へ。阿賀野川特別(1000万条件 2200㍍)を勝ったポポカテペトルは菊花賞に直行。もう1頭、9戦中4戦を新潟競馬場で走っているウインガナドルはデビューも初勝利も新潟。前走・新潟記念は先行して粘り0.1秒差4着だった。父ステイゴールド、母父メジロマックイーンという“黄金配合”の馬。先週の秋華賞では、昨秋の新潟裏開催で初勝利をあげたディアドラが勝利し、新潟デビューのリスグラシューが2着した。菊花賞も新潟競馬場に縁(ゆかり)のある馬と併せた馬券を買いたい。

  評価が低い者の可能性を知っている  人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ

2017年10月14日 (土)

人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ

 「人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ」というフレーズはアメリカの作家・哲学者 ロバート・フルガム氏のベストセラー「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」のバクリ。文庫本になった時に買っているはずだが、本棚にない。1990年代前半に読まれた本。

 昨年12月に「競馬や競馬場で習った、競馬以外のこと」を記そうと決めたはずだった。

  http://kasa.air-nifty.com/blog/2016/12/post-5472.html

 備忘のためにも「人生に必要な知恵はすべて競馬場で学んだ」というカテゴリーを作った。

 蛭子能収氏が言っていた。「嫁が認知症予防には乳酸菌がいいと聞いてから乳酸菌を飲んでいる。でも自分はギャンブルが一番の認知症予防になると思っている」。蛭子さんは“人生に必要な知恵はすべて競艇場で学んだ”のだと思う。