良心の踏み絵
森友学園に対する国有地売却を巡る疑惑。その闇、その核心に関わる過程を、当時、財務省近畿財務局の職員だった赤木氏がまとめた文書「赤木ファイル」。そのファイルが400カ所も黒塗りされた姿で開示された。
赤木氏はファイルに「組織による具体的な文書改ざんの指示」を記述し、自死した。「これが財務官僚王国。最後は下部がしっぽを切られる」と遺して。
この問題には、日本の戦後史に名を残すであろう首相とその夫人、財務大臣、財務官僚、そして日本的官僚・組織文化の暗闇が深く関わっている。
誤解を恐れずに記せば「赤木氏は強い人」だと思う。2015年に自分も同じような立場に立たされたことがあった。しかし、自分は別の選択しかできなかった。赤木氏の公僕である国家公務員としての使命感、怒り、そして哀しみ。赤木氏の気持ちの一端は共有できる。
亡き夫の遺志を継ぎ、訴えるため、赤木氏の夫人が地方新聞社などを精力的に訪問していることを知った。どんな形であれ、彼女を応援したい。
思想・信条に関係なく、日本人の良識と人間の良心に従って。
「赤木ファイル」は良識の踏み絵、良心の踏み絵だと思うから。