映画音楽の巨匠、逝く
「自分の葬式はできる限りシンプルに」と考えている。しかし、もしいくつかのワガママが許されるなら、音楽を流したい。
世界的な映画音楽の巨匠・エンニオ・モリコーニ氏が7月6日に亡くなった。こうなって初めて、彼のプロフィールに触れた。ローマの国立アカデミーで12歳から作曲を学んだ天才であること。演奏活動、作曲・編曲家を経て、「荒野の用心棒」(1964)や「アンタッチャブル」(1987)などの作曲を手掛けたこと。そして同じイタリア出身のジュゼッペ・トルナトーレ監督の「ニュー・シネマ・パラダイス」(1988)を作曲した。「ニュー・シネマ・パラダイス」は彼の音楽なくしては成立しない。
葬儀では自分の人生のバックグラウンド・ミュージックだった浜田省吾。そして、映画「追憶」のテーマ「The Way We Were」(バーブラ・ストライサンド)と、「ニュー・シネマ・パラダイス」のテーマを流したい。
人生にはもう少し時間がありそうなので、選曲は変わるかもしれない。どうしても3曲と決めている訳ではないが、10曲も流すような葬儀は望まない。それではお経の時間と変わらない。
もうひとつ。葬儀は参列者がいることを想定していない。音楽は「参列者に聞かせるため」に流すのではない。棺桶の中で「自分が聴くため」に。
今夜は「ニュー・シネマ・パラダイス」のCDを聴いて、エンニオ・モリコーニ氏を追悼しよう。
彼の音楽は、晴れの日にも雨の日にも、朝にも夜にも、夏でも冬でも、そして、若くても年老いていても、心に響く名曲だ。
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