山のようなイチゴ、たくさんの野菜
4月7日に発令された緊急事態宣言下でのゴールデンウィークが始まった。ゴールデンウィークは小旅行に出掛けるのが恒例だが、今年はステイホーム・ウィークに徹しよう。
自分のゴールデンウィークにはもう1つ、恒例のものがあった。毎年、大型連休の終わり頃になると山のようにイチゴをいただくことだ。
そのイチゴは多少、小ぶりだが、イチゴ本来の甘味があって、とても美味しい。ただ、そのイチゴは足が早く、朝に摘まれたにもかかわらず、夜には変色し始める。クリスマスケーキに乗っているイチゴや、スーパーで見かける巨大なイチゴが、ムリヤリ作られた「工業製品」であるとすれば、このイチゴは「生き物」であることを強く意識させる。
イチゴをもらった日は、自分が大人であることを忘れる。大きなザルにいっぱいのイチゴを誰に気がねすることもなく食べた。なぜなら、もう1つの大きなザルに、同じように溢れんばかりのイチゴが盛られていたからだ。
唇と舌と、多少、Tシャツも赤く染めて、そのイチゴを食べた。「今日がイチゴにとって、人生最大の舞台であること」を知っていたから、何度もアンコールした。イチゴは鳴りやまないアンコールに応えてくれた。
イチゴをくれたのは妻の親友で、イチゴを育ててくれたのはそのお母さん。
冬になれば、たくさんの越冬野菜をいただいた。
鈴なりのイチゴを魔法のように実らせる手のひらを、1度見てみたいと思っていたが、かなわなかった。
たくさんの野菜と、山のようなイチゴを、ごちそうさまでした。
合掌。