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2020年3月14日 (土)

「怒りの葡萄」の時代へ

 ブルース・スプリングスティーンの1995年のアルバム「ザ・ゴースト・オブ・トム・ジョード」(The Ghost of Tom Joad/トム・ジョードの亡霊)を聴くまで、トム・ジョードのことを知らずにいた。

 トム・ジョードはアメリカの作家、ジョン・ スタインベックによって1939年に書かれた小説「怒りの葡萄(ぶどう)」の主人公。この小説でスタインベックは1940年にピューリッツァー賞を受賞した(1962年にはノーベル文学賞を受賞)。

 映画になった「怒りの葡萄」の冒頭で物語の時代背景が説明される。

 ~ アメリカ中部にはダスト・ボウル(Dust Bowl/砂嵐地帯)と呼ばれる乾燥地帯がある。この乾燥がもたらす貧困が、農民の生活を不能なものにした。この物語は自然の猛威と経済変動によって土地を追われ、約束の地と新しい家を求めて長い旅に出る農民一家の物語である ~

 夢と希望の土地・カリフォルニアを目指したジョード一家。だが、彼ら「難民」は郊外のキャンプに収容される。彼らはそこで壮絶な飢えと貧困に遭遇し、カリフォルニアに抱いた幻想は打ち砕かれる。トム・ジョードに代表される難民たちの心に、まるで葡萄の実のように「怒り」が実る。

 新型コロナウイルスに翻弄される世界。その光景は「怒りの葡萄」の背景と似ているように思う。コントロールできないウイルスの猛威と出口の見えない経済の停滞。今年は2020年。世界恐慌は1929年の出来事だと教科書で習った。もし「100年に1度」の出来事が起こっているとすれば、何の不思議もない。

 世界恐慌は小規模な労働集約型の経済活動を資本集約型の仕組みに転換するきっかけになった。“コロナショック”の後、「産業構造や経済・生産活動が以前の水準に戻る」とは到底考えられない。急速なAI化などによって、労働が奪われる大転換点になるような気がする。つまり、我々の世界は、再びトム・ジョードの亡霊を見ることになる。

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