皇嗣の見識
秋篠宮文仁親王(以下、親王)が53歳の誕生日を前にした記者会見(22日)の内容が公開され、皇室行事・大嘗祭(だいじょうさい)について、「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と述べ、公費で賄うとする政府見解と異なる考えであることを示された。
大嘗祭は、一世に一回の儀式で、新天皇が世の中の安寧と五穀豊穣を祈る儀式。前回、大嘗祭が行われ、公費支出された際にも「政教分離に反する」という批判が一部にあった。
親王は来年5月に皇嗣(こうし)となる方。その方が「内廷費(皇室の私費)で賄うべきではないか」と、政府方針に疑義を呈したことが「異例だ」と報道されている。この会見で親王は、自身の家族の婚姻に関する報道についても真摯に穏やかに現状認識を示されていた。
高いバランス感覚を持った、極めて優れた人物なのだと感心し、感嘆した。
諸外国との皇室外交等で培われた国際感覚。官舎住まいだった后(きさき)を選ばれた庶民感覚。そして、考え方を異にする者たちへの“市民感覚”。
今回の発言は異例でもなんでもなく、皇嗣の見識に、政府もマスコミも追いついていないだけだろう。
« 朝まで生テレビ | トップページ | 炭坑夫とジャーナリスト »
「西向きの窓辺」カテゴリの記事
- 雪の重さを知る者は(2022.11.18)
- 彼は「戦後レジーム」を抜け出せなかった(2022.08.13)
- 内橋克人氏の訃報(2021.09.01)
- 良心の踏み絵(2021.07.03)