闇の歯車
CS放送「時代劇専門チャンネル」の開局20周年記念として藤沢周平原作が映像化されている。第3弾にして最後の番組が「闇の歯車」。
藤沢作品の中で「闇の歯車」は異色と評されることが多い。「闇の歯車はサスペンス」というのが定説。確かに物語をジャンル分けすればそういうことになるが、藤沢氏の長編は「雲奔る」、「義民が駆ける」、そして「闇の歯車」と続く。藤沢氏がその後、大作家の道を歩んだ(時代小説家として。御本人は偉ぶる素振りもない)ことを顧(かえり)みれば、初期の作品といえる。
刊行当時、既に直木賞作家だった藤沢氏に対して失礼だが、ある意味“試行錯誤” あるいは “目先を変える”という意味合いがあったのではないかと愚推する。藤沢氏がハードボイルドでも、淡い恋愛小説でも、“ジャンルを問わずこなしたであろう”ことは、氏のファンなら衆目一致するところだろう。
今回製作される映像はテレビ放送の前に大都市の映画館で限定上映されるという。没後20年以上を経て、「藤沢作品の集客力」が試されているような気になる。佐之助を演じるのは瑛太、伊兵衛は橋爪功。CSでの放送は2019年2月9日。BS放送、つまり自分が視聴するのは来年の今頃だろうか。
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