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2018年11月20日 (火)

コストカッターの末路

 2012年頃、仕事で武蔵村山市を訪れる機会があった。西武拝島線・武蔵砂川駅から2㌔ほど離れたところにある企業に向かう途中に、広大な空き地が広がっていることに驚いた。「日産の村山工場の跡地ですよ。今は宗教法人が所有しています」。タクシーの運転手がそう教えてくれた。

 ルノー(フランス)、日産自動車、三菱自動車工業の会長で、ルノー・日産・三菱アライアンスの最高経営責任者 カルロス・ゴーン氏(64)が有価証券報告書虚偽記載等の容疑で逮捕された。偽った報酬は巨額で、かつ、その手法が悪質だったとされている。他にも企業を私物化していたことによる複数の容疑がかけられている。

 彼の登場は衝撃的だった。業績不振に陥った日産自動車を再建するため、フランス・ルノー社から送り込まれた彼は、「日産リバイバルプラン」という再建計画を策定し、実行した。冒頭の村山工場は、その計画の中で閉鎖された。

 リバイバルプランは成功した。日産は世界各国で人員を削減し、下請け企業を半減させる等、購買コストを圧縮。2兆円以上あった有利子負債をわずか4年で完済した。結果、彼は「カリスマ経営者」となり、同時に「コストカッター」という異名がついた。

 事件の発覚には内部告発があったとされる。また、捜査には日産の社員が協力し、司法取引制度が適用されたという。例えそうであっても、日本を代表する世界的企業で、不正が「素通り」したことに寒気を覚える。

 彼は21世紀初頭を代表する歴史的経営者だった。が、既に過去形だ。彼には税金が「コスト」だったのだろう。

 もうひとつ。彼の後を追った「ミニ・コストカッター」たちは、この機会に“切られる側の人々”に思いを馳せるべきだ。コストカッターは他者を切ることで、自らの報酬を上げる。ほとんどのコストカッターたちは、自らの身を削らない。

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