螺旋状の循環 2
27年前、国際文化論の授業では「外国人労働者をどう受け入れるか?」を議論した。労働市場の開放は、一定数の日本人労働者の職業を奪うことが想定された。しかし、その議論も含めて、大きな問題にや社会的な課題には発展しなかった。バブルの後始末に負われた日本の人手不足は、やがて“人余り”となったからだ。
しかし、今回は経済や景気の波が解決しはしないだろう。少子高齢化の日本では慢性的な人手不足が続くからだ。出入国管理法の改正案を同じ産業界でも温度差があるように感じる。デフレ業種といわれるチェーン展開業種や新業態・新店舗の出店を積極的に進めたい業種、そして、建設業の深夜労働、ホテル業の客室清掃、交代制のシフトを組む製造業などは外国人労働者に頼らざるを得ない現状がある。これまでの「外国人技能実習生」の制度が黒に近いグレーだったことは、自分も目の当たりにしてきた。改正案では受入れ拡大業種として14分野が検討され、これに含まれないコンビニエンスストア業界は追加を希望しているという。一方、労働組合は「進め方が拙速」と懸念を示している。
「クズネッツの波」が15年~20年で起こるとすれば、バブルの後遺症に悩まされた時間をプラス10年した現在。「コンドラチェフの波」として48年~60年で起こるとすれば、IOT、AIの大規模な技術革新でマイナス10年した現在が景気循環の節目に当たっているように思う。
時間が経過し、時代が変わり、歴史が繰り返されている。それはまるで螺旋状に。
但し、その螺旋が「上向き」なのか、「下向き」なのかの判断は“微妙”と言わざるを得ない。
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