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2018年10月26日 (金)

滑走路

 旧優生保護法のもと、障害者などに不妊手術が繰り返された問題では、「旧」の文字が付されることで、あたかも古い問題であるかのように錯覚する。優性保護法は1948年から1996年まで存在した。ついこの前までの出来事だ。優生保護という法律も言葉も、この上なく破廉恥なのに、人々は「そういうものだ」と素通りして来た。そして、現在進行形で放置し続けている言葉が「非正規」ではないか。

  非正規の友よ負けるなぼくはただ書類の整理ばかりしている

  青空の下でミネラルウォーターの箱をひたすら積み上げている

  うしろ手に携帯電話抜くときにガンマンになった気がする僕は

  青空と発音するのが恥ずかしく なってきた二十三歳の僕

  空だって泣きたいときもあるだろう葡萄のような大粒の雨

  筍のように椅子から立ちあがる昔の僕のような少年

 「歌集 滑走路」 を遺した萩原慎一郎氏は“非正規”の歌人。彼は「非正規雇用」の歌人。「逆境に負けず生きる希望を歌った」と評され、「彼の歌は心を射抜く」と評される。

 しかし、彼は32歳で命を絶った。彼は逆境に負けたのだ。彼を敗者にする社会とは何だろう。そのこと自体が「非正規な社会」の証左だろう。

 彼の歌が心を射抜くとは思わない。彼の歌は心にとどまり、そして、住みつく。それほどの力を持っている。

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