いつも想定外
猛烈な台風21号は主に近畿地方で高潮や暴風による甚大な被害をもたらした。停電、土砂災害、国宝や重要文化財の破損。有名な渡月橋の欄干も壊れた。
関西国際空港では滑走路やターミナルが高潮で浸水した。また、停泊中のタンカーが強風にあおられ、空港と市街地をつなぐ連絡橋に衝突。橋が通行止めになったことで、利用客など8千人が足止めされ、空港は孤立した。パニック映画のシナリオのような出来事が実際に起こった。
関西国際空港について 「50年に1度の想定を上回る高波が空港島を襲った」、「台風で空港の排水機能が低下した」、「50年に1度に相当する高波が来襲しても、波が護岸を越えないようにコンクリートを継ぎ足していた」、「今回の高潮被害は、これまでの想定を上回るものだった」
関空連絡橋について 「大地震でも耐えられる設計だったが、タンカーがぶつかるとは想定外だった」
タンカーについて 「タンカーは橋に衝突するまで、およそ30分もの間、停泊地から漂流していた(タンカーに搭載された船舶自動識別装置(AIS)が記録していた)」。
空港、連絡橋、そしてタンカーを「原発」に読み替え、台風や高潮を地震や津波と読み替えることができる。福島第一原子力発電所事故とそっくりだ。
このブログで、経済的価値が優先されることへの疑問を呈し、利益至上主義・勝利至上主義に対する批判を記してきた。何の解決にもならないし、何の意味も持たないが、効率的に経済的価値を追求した人造的な企(たくら)みに依存するのはもう止めることにする。それらが目論見どおりにならないことは、十分に学んだ。
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