「帳消し」は難しい
通勤途上にあった植栽の花。一瞬、桔梗かと思ったが、違う。葉が7枚だったり8枚だったりする。葉の中央は鮮やかな紫で、星形の葉を縁取るように白くなっている。
「帳消し」という言葉がある。元は経済や経理の用語と思われる。勘定が済んで帳面の金額を抹消すること、債務が消えることの意味。もうひとつ、「互いの損得をなくす」という意味がある。ある物事によって、それまでの損得の価値がなくなること。差し引いて(相殺されて)価値や意味がなくなること。
スポーツの世界には帳消しがよくあった。「エラーを帳消しにするホームラン」などがいい例だ。企業においてもそれに似たことが許されてきたと思う。しかし、もうそれは古い悪習だろう。
関東学生アメリカンフットボール連盟が悪質タックル問題の処分を発表した。
http://kasa.air-nifty.com/blog/2018/05/post-4c95.html
前監督と前コーチが選手に悪質なタックルを指示したと認定。前監督と前コーチを除名(事実上の永久追放)処分とした。選手は今シーズンの出場停止処分。チームは公式試合の資格剥奪処分が課された。
前監督、前コーチによる悪質な反則指示があったことを認定した。前監督と前コーチは、昨年の大学選手権でチームを優勝に導き、これまでも名門を率いてきたアメフト界の功労者だ。
この出来事を社会は他人事のように捉えている。今回の監督やコーチを擁護する気は毛頭ない。しかし、このような構図は、この社会には蔓延している。どれだけ目先の数字を作ることができても、部下や若者、人やその人格、そして何よりもルール違反を踏み台にした作られた数字は意味を持たない。
現代では「帳消し」は難しい。未だ「帳消し」が横行する組織がある。その組織は衰退する組織だと断言できる。
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