49歳の地図
新年度。自分の環境にも転機と変化が訪れた。
日本は民主主義・資本主義・自由主義・平和主義・立憲主義…これらの原理原則を持つ国。もうひとつ「会社主義」の国でもある。その中身は2つある。
ひとつは制度上の仕組み。納税、社会保険、年金、その他の事務を企業に代行させ国の行政が運営されている。もうひとつは我々の精神構造。旧い日本では新卒採用で就職した後、定年までその会社に勤務するのが当たり前だった。現在では終身雇用は崩壊したが、キャリアアップを伴う転職はごく僅か。日本では離職すると再就職が難しい構造になっている。
雇用というセーフティーネットは会社員(会社に所属している状態)であれば担保され、そこから離脱した者は、その理由の善悪を問わず雇用のセーフティーネットは担保されない。
雇用政策は企業に属した会社人に対してはある程度行き届く。しかし、離脱者へのそれはほとんど機能していない。勤労は国民の三大義務のひとつなのだが、他の二つの義務である納税や教育に比べると、その体制の脆弱さが際立っている。会社を通じて行う諸施策を“上半身”だとすれば、個人に向けて行う諸施策は“下半身”。その下半身はハリボテだ。
49歳の地図は色褪せている。それでも地図が地図であることの価値は、現在地と方向、どこに何があるかを示すこと。
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