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2018年3月24日 (土)

涜職

 池の水面に小石を投げ込むと波紋が拡がる。波紋はひとつでは収まらず、同心円状にいくつも拡がり、やがて池の縁に辿り着く。

 職を汚(けが)すという広い意味の「涜職(とくしょく)」という言葉が「あった」。涜職罪は公務員の職権濫用罪と賄賂罪の総称として使用されていた。過去形なのは、現在では汚職という言葉に置き換えられるようになったから。

 学校法人森友学園への国有地売却に関する問題。この顛末が後生、どのように語られるのかわからない。ただ最も恐れるのは単に役人の不始末としてのみで片づけられてしまうこと。財務省近畿財務局内では、この土地売却案件を「安倍事案」と呼んでいたという。

 権力者の行動や言動は波紋を呼ぶ。波紋は池や湖の縁まで届く。自身の思いとは関係なく、思いもよらない場所にまで辿り着く。その遠因には、やはりこの国の組織と人の精神構造がある。一見、澄んでいるかのような池に小石が投げ込まれると、水面には波紋が拡がり、見えない底では沈殿したヘドロが沸き立つ。財務省は“財務官僚池”、日本は“日本国池”であって、決して大海(たいかい)ではない。  

 役人の忖度や閉鎖的な官僚の論理は断罪されるべきだが、権力は磁力のような「見えない力」をも併せ持っている。そのことを政治エリートの家系に産まれた“天然”の首相と東証一部上場企業の社長を父に持ち一貫してお嬢様学校に学んだ“天然”の夫人は「思い遣(や)る」ことができないだろう。忖度はさせるが配慮はできない種類の人たち。

 一連の問題は公務員の涜職(広い意味で)であることは間違いないが、政治家に責任がないということにはならない。

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