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2018年3月12日 (月)

柏手重宝氏を悼む

 -“酔拳の使い手”を悼む-

 ジャッキー・チェンが主演する映画に「酔拳」というヒット作がある。1978年に制作された香港映画だから、もう40年前の作品だ。この映画を初めて見た時、酔拳はあくまでも映画の中だけの架空の拳法で、単に脚本・演出上の舞台設定として演じられているものと思い込んでいた。その後、酔拳は中国武術における由緒ある流派で、その使い手は“まるで酒に酔っ払ったかのように”その拳を操ることを知った。

 「 netkeiba.com 」 http://www.netkeiba.com/ という競馬情報サイトがある。競馬ファンは閲覧したことがあるだろう。コンテンツが充実していて、よく利用している。レースの出馬表やオッズ、ニュースなどと並び、いくつかのコラムを読むことが週末に向けてのルーティンになっている。中でも楽しみにしていたのが、毎週木曜正午にアップされる柏手重宝(かしわでちょうほう)氏の「根多のデットーリ」というコラムだったのだが…。今日の netkeiba.com に、その柏手氏の訃報が掲載されている。

 柏手氏の文章は独特で、ずっと「酔拳の使い手だな」と思っていた。全体に「おふざけ感」が漂う文章(予想)であるものの、それは投球フォーム(酔拳に例えるはずだったのに…)が独特であるだけだ。基本的にはデータ解析のコラムであり、“消える魔球”など論理的に説明がつかない球は投げない。話の前段や話のつなぎ、言い回しなどは酔拳そのもので、それは読者を油断させ、幻惑させた。酔拳にはお銚子を持つ手のような型「杯手」がある。喉仏を掴んで喉を破壊するなど急所を突くための型だという。柏手氏が書くコラムの手法はこれに酷似している。

 プロフィール欄を見ると「競馬専門誌競馬王の元本紙予想担当」とある。年齢を含め、これ以上の素姓はわからないが、柏手氏の予想にはずいぶんと楽しませてもらった。長く、苦い経験に裏打ちされた知識と愛情を自在に操った。本命党でないのはエリートではないからだろう。判官びいきなのは馬が好きだからだろう。あの独特の文体を読めなくなった喪失感は、どんな名馬の引退よりも大きいと感じる。柏手氏の訃報に接し、皐月賞の軸馬が決まった。

 ご冥福をお祈りいたします。

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