ひと 藤沢周平
明日から藤沢周平氏の展覧会が下記の要領で開催される(練馬区文化振興協会主催)。「藤沢氏が住んだ練馬区とのつながりに焦点をしぼり、写真や作家の日常を物語る資料」が展示される。
内 容 (1)生誕90年記念 藤沢周平展 (2)生誕90年記念 藤沢周平と練馬展
日 時 2018年2月10日(土)~ 4月1日(日) 9時から18時 月曜休館
会 場 (1)石神井公園 ふるさと文化館(練馬区石神井町5-12-16)
(2)石神井松の風文化公園 管理棟(練馬区石神井台1-33-44)
入場料 (1)300円 (2)無料
ぜひ観覧に行きたい。新潟からの道のりは遠いが関越道を切り取ってしまえば隣町のようなものだ。
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10年前の2008年に出版された藤沢周平「帰省」~未刊行エッセイ集~をAmazonで購入した。中古本だが藤沢ファンの本棚で大切に保管されていたのだろう、初版の帯付きで目立つ汚れもない。
藤沢氏のエッセイは「周平独言」、「小説の周辺」、「半生の記」、「ふるさとへ廻る六部は」他にも数点。時代小説同様に心地よい読後感が残る。しかし、この「帰省」は多少、趣が異なるように感じる。それは「これまで未刊行だったエッセイ」(一部に再録もある)であることにも理由があるのではないか。
「帰省」には古き良き昭和の残像が色濃く滲み出ている。同時に、藤沢氏の人間性・人柄、「ひと」もまた色濃く反映されているように思う。
藤沢氏の本を読んでいると、その時代の同じ町角に住み、時には井戸端から、時には木陰から、出来事を眺めているような気分になる。時代小説が架空・フィクションであるのに対し、エッセイは実在・ノンフィクションだ。当然、実在の人物、書物、出来事などが登場する。「帰省」にも多くの“実在”が登場する。佐野洋、中山あい子、小松重男らの名前には興味をそそられる。彼が愛したり、感心したり、認めたもの。つまり、彼の感性や眼力を信頼しているからこそ、それらの価値も間違いないものである可能性が高い。藤沢氏のエッセイを読んでいると、同じ町角に住み、同じ列車に乗り、同じ本屋や喫茶店で、同じ出来事を眺めているような気分になる。
佐野洋(1928年5月22日-2013年4月27日)は推理小説作家であり文学評論家。東大主席卒の秀才。藤沢氏は佐野氏の「推理日記」を楽しみにしていたと記している。佐野氏には競馬に関する推理小説もあるようだ。週末の3連休は「推理日記」を読んでみる。
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