TV Bros.
昨日からの寒波が関東で平成26年以来、4年ぶりの大雪を降らせた。今日からは北陸・東北の日本海側に大雪の予報が出ている。午前中は日が差していたが、徐々に荒れ始め、風を伴った雨は、雷が鳴って雪になった。週末まで続くこの寒波が降らす雪が、この冬の峠になる。
年末に、20代の頃、「ダカーポ」という雑誌を読んでいたことを、正月に「ニューシネマパラダイス」という映画を見たことを記した。2つの記憶がまた次の記憶を呼び覚ました。それが「TV Bros.」(テレビブロス 東京ニュース通信社)。
あの頃、2週間分のテレビ番組表と番組案内、芸能・エンタメ情報などを掲載した雑誌が隆盛だった。似たようなテレビ誌が10種類近くあった。「TV Bros.」を発行している東京ニュース通信社は「週刊TVガイド」というこの分野でメジャーなテレビ誌を発売していた。一方、「TV Bros.」は、当時180円という価格で「TVガイド」の廉価版としての位置づけだったが、その中身は独特で、個性的な雑誌だった。
その独特さは数多くの連載コラムにあった。「このコラムは一体誰のために書いているんだろう」。よくそう思った。端からストライクゾーンに入れる気がなく、アウトコース低めの明らかなボールか、インコース高めの明らかなボール。そんなコラムばかりだった。普通に暮らし、テレビと新聞、一般的な娯楽雑誌からでしか情報がなかったら、到底知る由もないような事柄が、この雑誌には詰め込まれていた。マニアックな音楽、映画、見たことがない誌面レイアウト。有名か無名か、多数か少数かではなく、作品の優劣によって時には酷評を見ることもあった。健全な批評誌の側面を併せ持っていた。自由というより、好き放題に書いているライターの中からは多数の有名コラムニストが生まれた。昨年、「TV Bros.」は創刊30年を超えたという。健全であるからこそ、長生きするのだろう。
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