冷たい水・白い米
1週間ほど雨模様が続き、2日ほど晴れた。こんな日の外出は丈の短い薄手のウインドブレーカーで用が足りるので身軽だ。
お昼に飲んだコーヒーのカップとスプーンだけの洗い物をするため蛇口をひねると、震え上がるほど冷たい水が出てきた。眩しいくらいの晴天のせいで、身軽かつ気軽でいた自分が“所定の位置”に引き戻された気がした。
瞬間湯沸かし器(給湯器)は1950年代に一般家庭に普及し、冷たい水で洗い物をすることから解放された。当時の女性は、どんなにアカギレ、ヒビ、しもやけで辛い思いをしていただろう。
最近、よくあるテレビ番組の企画に「ダイエットもの」がある。積極的に見るつもりはなくても、週に1度は似たような番組に出くわす。昨日は健康状態も危惧されるような肥満タレントの食生活や生活習慣をダイエットの前と後で比較したものだった。この企画の成功の秘訣は「糖質ダイエット」だった。糖質とは、ほとんどの場合、炭水化物のことだ。炭水化物とは、ほとんどの場合、お米のことを指している。米はいつから悪者になったのか。
長らくこの国は米本位制だった。米は戦後から平成の初期まで、食糧管理制度で国の管理や統制の下にあった。“ヤミ米摘発”というようなニュースがよく新聞に載っていた。白い米を誰もが気兼ねなく、お腹いっぱい食べられるようになったのは給湯器が普及した1950年代だろう。わずか60年ほどしか経っていない。ここ数年で、米は健康にとって悪者になった。日本は米の国。米を悪者扱いしていると、手痛いしっぺ返しをされるような気がする。
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