サムライのような仕事
先週、12日のエリザベス女王杯を昨年に続いて連覇したミルコ・デムーロ騎手について少し。外国人騎手でありながらJRAの難関試験を突破し、日本を主戦場として活躍するデムーロ騎手は今年5月のオークスから、騎乗したGⅠレース9戦全て3着以内の結果を残している。今年はGⅠレースを5勝。JRAの年間GI最多勝利まであと1勝に迫っている。
エリザベス女王杯をモズカッチャン(父ハービンジャー)で勝利したことには称賛すべき意味と理由がある。勝利の意味は、開業18年目の鮫島調教師、馬主、目黒牧場、それぞれにとって初めてのGⅠ勝利になったこと。そして、称賛されるべき理由は、社台グループ以外の馬で勝利したこと(菊花賞のキセキもそうだった)。
日本の競馬界、特にGⅠレースが“社台グループの運動会”と揶揄されるのも仕方ない現状がある。今年はオークス馬が秋華賞に、ダービー馬が菊花賞に、それぞれ出走しなかった。バブル後の競馬低迷期に肥大化した社台グループの弊害と言っては言い過ぎかも知れないが、イビツな一面ではある。
話が逸脱した。デムーロ騎手は同グループの馬に騎乗することもできたが、彼はモズカッチャンという馬の力を信じた。彼は陽気で心優しいイタリア人のイメージがあるが、特に大レースに強い仕事ぶりは職人気質でもある。血統や生産牧場、馬主ではなく、馬の力と騎乗技術でレースを支配するのが競馬本来の姿。閉塞した競馬界を斬り裂く剣のような騎乗で、年間GI最多勝利記録を更新するだろう。但し、その時の騎乗馬は社台の馬かもしれないが。
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