足し算ばかりで引き算のない社会
日本を代表する企業の不正が後を絶たない。
http://kasa.air-nifty.com/blog/2017/10/post-3.html
神戸製鋼の製品データ改ざん、日産自動車、スバルの無資格者による完成車検査、商工中金の不正取扱…。
報道のヘッドライン ①製造業、相次ぐルール軽視 揺らぐ「日本品質」(時事通信) ②名門メーカーの相次ぐ不祥事 揺らぐ日本のものづくり 海外から厳しい目(産経新聞) ③相次ぐ不祥事でつまずいた日本の自動車産業 黄金時代の復活狙う(AFP通信) ④過大なノルマで不正まみれに 商工中金、根深い隠蔽体質(朝日新聞)など
典型的な天の邪鬼なので、一方的な報道や見解には肩入れしたくない気持ちが湧いてくる。
報じられている不正にも種類がある。主に自動車業界で起こっている無資格者の完成検査について、法令で決められていることをやっていなかったことは確かに法令違反なのだが。例えば、技術水準の高い作業者がある工程を担当し、その工程ではチェック体制が確立されているとする。その場合、完成品の検査にはどんな意味があるんだろう。もう1度、全工程か重要工程を再検査するのだろうか。それはあり得ない。検査するために、完成品を解体・分解しなければならなくなる。
法令違反とされた規制を緩和したらどうだろう。不正は一瞬で適正に変わる。我々の世の中は、足し算ばかりで、引き算のない社会。会社も同じ。そこにはイビツな形式主義が根強く残っている。そこでの価値基準は「足し算は前向きで、引き算は後ろ向き」。「足し算は出世コースで、引き算は窓際の仕事」。
引き算の重要性に気づき、思考できる人は経験を持った、主に現場を知っている人に多い。その存在は貴重だ。しかし、引き算の重要性に気づきながらも、それを放置している人の数は前者の100倍多い。足し算を説明するのに理由は不要だが、引き算の説明には詳細な理由が必要だ。無くすための稟議は増やすための100倍、労力がかかる。
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