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2017年10月 7日 (土)

風邪をひかない人

Ss_ex 季節の変わり目は体調を崩しやすい。季節はとっくに秋に変わっているが、衣類や寝具、そして気持ちの中には夏の名残りがまだあった。珍しく風邪気味だったので市販薬を飲んだ。

 世の中には3種類の人がいる。 ①風邪をひいて休む人 ②風邪をひいても頑張る人 ③風邪をひかない人

 このうち、③風邪をひかない人が最も優秀で安定的だと考える。しかし、社会や会社ではそう評価されない。

 風邪をひかない人は、元々の体が丈夫だったり、先天的な持って生まれた健康があると思う。同じように、頭のいい人には、元々の地頭が良かったり、両親が優秀だったり、先天的に持って生まれた頭脳があると思う。そして、それぞれに後天的な努力があるはずだ。

 風邪をひかない人は健康に気をつけたり、仕事を休まないように予防策を講じたり、体力づくりをしたり。一方、頭のいい人は予習・復習を欠かさなかったり、人が遊んでいる時間にも勉学に励んだり、努力したはずだ。つまり、試験に合格するのも能力ならば、風邪をひかないことも能力だろう。

 春先に報じられたニュースを思い出し、当時の記事を調べてみた。話は半年前に飛ぶ。「東日本大震災後から6年が経過した福島県楢葉町」についての報道。

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が2015年9月に解除され、今春を「町民の帰町目標」に掲げる楢葉町の町長が、「帰町しない職員は、昇格・昇給させないようにしたい」という趣旨の発言をした。町長の発言に対し、町議会では「職員も避難者。行き過ぎではないか」と指摘があったという。町長は「守るべき責任の重さがある。やり過ぎとの声はあると思うが、(発言の趣旨を)基本的な考え方として行政執行に当たっている」とした。楢葉町では職員が輪番で「業務外扱い」で町内に宿泊しているといい、「町内に居住しないことが公共の福祉に反していると言えず、居住の自由は認められる。居住地を人事の評価対象にするのは問題がある」との指摘があるという。

 何が悪いのだろう。町長は「震災6年を経過し、非難指示が解除されても帰町町民は低水準。多くの町民に帰ってきて欲しい。職員のほとんどが帰町し、立派に暮らしている」。そう発信したいのだろう。震災被害を受けた町の町長としては当然の論理だ。町長は率先垂範する職員を求めている。それは、楢葉町を再生させたいからだ。職員の多数が帰町しない町に、町民の多数が帰町するだろうか。先にあげた言葉で置き換えるなら、風邪をひかない人 = 町に居住する人がも最も立派で優秀で安定的なだと思う。町に居住するという結果は、帰る努力・住む努力という昇格試験をクリアして得られると考えることは、論理的にも倫理的にも矛盾していないと思う。

 福島第1原発事故の際、原発事故建家で懸命な事故対応に追われる最前線を、遠い本社のテレビモニターから指示するお偉方の姿を思い出す。世の中には無菌室のような場所にいて「風邪をひく可能性のない人」もいるのだが。

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