内部留保課税
衆院選投票日まで3日。今日も日経平均株価は最高値を更新した。日経平均株価が13営業日連続で上昇したのは、バブル期の1988年以来、およそ30年ぶりだという。様々な経済指標は景気拡大が持続していることを示している。しかし、そんな一部の熱狂とは裏腹に庶民は好景気の実感が乏しい。景気拡大による大部分の果実を企業だけが享受している現実がある。上場企業の内部留保は550兆円にも及んでいるのに、利益を賃上げに振り向けない。
希望の党のことは信用していないが、同党は「大企業の内部留保に課税することを検討する」と公約している。「検討することを公約」だから、実現可能性は低いだろう。課税による税収を消費税増税凍結の財源とするという。学者や評論家、アナリスト、ジャーナリスト等から、「二重課税だ」、「税務知識や会計のイロハも知らない」、「浅はかな公約で大衆迎合」等々の批判を受けている。
世の中には理論どおりに行かないことがある。むしろその方が多いかもしれない。そこに政治の役割がある。政治が公平・公正のために、あえて差をつける。理論に近づけたり、時には理論から離れることもある。この税制が実施されたらどうなるだろう。 内部留保課税実現 → 日本企業の株が売られる → 企業は労働分配率を引き上げる(または配当金を上げる、あるいは設備投資する) → 個人消費が上昇する → 内部留保課税は凍結または税率減 とはならないだろうか。
指標によれば景気回復は間違いない事実。しかし、国民が求めている経済政策のステージは「庶民が好景気を実感できるかどうか」=「実感できる賃上げが行われるか否か」に移っている。今までのやり方で効果がないならば、違うやり方が必要だということ。やり方を変えるというのは、しがらみを断ち切ることだろう。
希望の党のことは全く信用していない。しかし、自民党や甘い汁を吸っている既得権益層のことは、もっと信じていない。「内部留保課税を検討する」という希望の党の政策に違和感はない。改革というのは、フカフカの指定席に座る者が替わること。今まで儲けていた者から新たなアイデアを持った者に指定席が交替することをいうのだろう。
明治維新の終盤、1876年(明治9年)、明治政府は「秩禄処分」を実施した。華族や士族に与えられていた家禄を廃止し、公債を支給した。支配層は無抵抗のまま既得権を失った。明治維新が改革だったことを疑う人はいない。
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