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2017年10月 9日 (月)

林修講演会の聴講を逃す

Img_20171009_105205 UX新潟テレビ21が主催する「峠」王プロジェクトは、司馬遼太郎の時代小説「峠」の主人公である河井継之助と、彼が生きた幕末・戊辰戦争の歴史をクイズにして峠王を決めるというもの。

 TVのCM「いつやるか?今でしょ!」をきっかけに発掘され、ブレイクした林修氏が、この地方局制作番組のMCを務めている。昨年、第一回が開催され、今年二回目を迎えた。関連する講演会が長岡で開催されるというので楽しみにしていたが、聴講の抽選に漏れてしまった。

 林修氏の本業は予備校講師(東進ハイスクール国語科専任講師)だが、現在では多数のテレビ番組で司会やレギュラーを務める売れっ子タレント。林氏はテレビを観ていて全く嫌悪感を感じず、むしろ親近感を持ってしまう数少ない人物。その理由は大きく3つある。①趣味が競馬であること ②河井継之助が好きと公言していること ③「ドラマと選挙と同窓会には出ない」等、彼の感覚に共感できるからだ。

 林氏に高学歴者(東京大学卒)の嫌みがないのは閉鎖的な金融機関でのサラリーマン生活、予備校講師という、やや特殊な職業を経験してきたことが影響していると思う。一方、予備校の授業では生徒の興味を惹く知的な“ネタ”をもって“舞台”に立ち続けたことは、彼がテレビタレントとして活躍する基礎を作ったといえる。実際、「魅力的な授業をするため落語やお笑い番組を参考に話術の勉強をした」と語っている。また、「予備校の授業は商品。講師は商品の品質管理に万全を尽くして取り組む。生徒は予備校という教育機会を与えてくれた両親に感謝すべきで、講師への感謝は不要」とも述べている。あるいは「日本人として過去の過ちを含めきちんと学びながら、正しい歴史認識を持たせるため、日本史を受験の必修科目にすべき」と述べる等、これらの“健全な平衡感覚”が彼の魅力だと思う。

 最近、世の中では「反薩長史観」がブームになっている。歴史は勝者が作るもの。明治維新で中心的役割を果たした薩摩藩・長州藩側からの歴史観が定説とされ、歴史教育でもずっとそれが教えられてきた。来年は明治維新150年にあたり、NHKの大河ドラマも西郷隆盛が主人公だ。150年は維新の立役者に譲るとしても、152年目あたりにはバランスを取る意味からも反薩長史観(旧幕府側)からの物語として、河井継之助が抜擢されるかもしれない。

 林氏は勝者や多数派が必ずしも正義ではなく、敗者だからといって世間に媚びる必要がないことをわかっている。そして、そのことを取り立てて大声で喚くこともない。スマートな紳士であり、優れた知識人だ。

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