打ち出の小槌
おとぎ話の「一寸法師」に“打ち出の小槌(うちでのこづち)”が出てくる。欲しい物の名を唱えて小槌を打つと、欲しい物が出るという。「一寸法師」では土産にもらった小槌を打つと米と倉が姿を現す。
以下、9/28 朝日新聞デジタルから抜粋・引用(斜体)銀行カードローン(以下、CL)をめぐり、金融庁が大手銀行との会合で、「利用者保護が確保されないならば、銀行を総量規制の対象外とする根拠が薄弱になる」と異例の指摘をしたことがわかった。消費者金融は貸金業法で貸付上限が「年収の3分の1以下」と規制されている。銀行CLはこの規制外に置かれていることで、貸付額を伸ばし、過剰融資の懸念が強い。金融庁はCLの取扱が優遇されている理由を銀行に改めて自覚させ、「業務運営の改善」を強く求めた。銀行CLの貸付残高は消費者金融の残高を超えている。日弁連は融資規制を求めるが、全銀協は抵抗し、過剰融資の対策を自主的に行っている。金融庁は意見交換で、「審査基準厳格化の取組に遅れが見られる」と指摘。銀行が貸金業法の規制外なのは「社会的責任を有し、過剰貸付の抑止を含めた利用者保護が確保されていると考えられたからだ」と明言。「こうした前提が満たされなければ、規制対象外とする根拠が薄弱になる」とした。
簡単な話だ。銀行が貸金業法の規制を準用し、自主規制で貸付上限を「年収の3分の1以下」とすれば良いだけ。しかし、銀行が自らこの紳士協定に踏み込むことはないだろう。銀行CLは、ほぼノーリスクで利益を産む“打ち出の小槌”だからだ。
打ち出の小槌、隠れ蓑、隠れ笠は、元々は鬼の持ち物とされた。鬼の道具を使う年収1千万の銀行員が、年収2百万、3百万の人たちを“食い扶持(くいぶち)”にしているという構図が、この問題の本質にある。
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