おおかみこどもの雨と雪
霜降。暦のとおり、北から初霜や初雪の便りが届いている。冬の到来が早いということは、冬の季節が長いことを意味する。
日本語の美しい表現に「琴線に触れる」がある。琴線は琴の糸。物事に感動し、共鳴する感情を琴の糸に例えた表現。心を楽器に例えている。
琴線に触れた映画、「おおかみこどもの雨と雪」。2012年に公開された映画。最近になってDVDを買った。原作・脚本は細田守監督。細田氏の作品は「純粋なファンタジーでありながら、リアリティを持つ」と評される。そのとおりだと思う。
この映画には心に刺さるシーンがいくつもある。大学生の花がキャンパスで“人とは違う彼”に惹かれていくシーン。厳しくも豊かな自然に囲まれた田舎町で老爺(声優:菅原文太は圧巻の演技)とふれあうシーン。物語のクライマックスで雨がオオカミとして生きることを選択し、旅立つシーン。どの場面も、人々が生きていく中で必ずといっていいほど体験する場面を描いている。
中でも最も好きなシーンは、豪雨の夜、学校に残された雪と草平が無人の教室で語り合う場面。これも人が必ず通る道、子供が大人の入り口に立つ境目、その瞬間を描いている。
人は誰も、子供のまま、無邪気なままではいられない。
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