処暑の蝉
柿川の岸に立っている木の幹に、逆さに留まっている蝉を見つけた。この辺で蝉と言えばアブラゼミのこと。インターネットにも「北陸地方ではアブラゼミの勢力拡大が著しい」とある。しかし、北日本では相対的にミンミンゼミが勢力を増し、アブラゼミの勢力が衰退している地方が多いという。
蝉はアブラゼミ、クマゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシ。このあたりが代表的な種類。ニイニイゼミやミンミンゼミという名前聞くが、これらはその鳴き声の特徴からついた別名で、前記のいずれかの種類に含まれていると思っていた。しかし、調べてみるとニイニイゼミもミンミンゼミも、立派に蝉の1種類だった。クマゼミは山の中で、ヒグラシは水辺近くで、ツクツクボウシは晩夏から初秋に鳴くという印象だったが、これらもほとんど外れていた。
エゾゼミという蝉の解説文に「木の幹に逆さにとまる」という説明があった。その一文を見て、少し安心した。ひとつは、逆さに留まった蝉が天変地異の前触れを示しているわけではないとわかったから。もうひとつは、あの蝉が死の直前で見境がつかなくなっているわけではないとわかったからだ。
今日は二十四節季の処暑。夏の暑さが峠を越えて収まる頃。窓の外ではコオロギが鳴いている。
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