信認を受けた者が履行すべき義務
欧米では広く「信認を受けた者が履行すべき義務」とされる「フィデューシャリー・デューティー(Fiduciary duty/受託者の忠実義務)」。日本では「顧客本位の業務運営」を指す言葉になった。
2014年9月 金融庁の金融モニタリング基本方針の中で、「商品開発、販売、運用、資産管理それぞれに携わる金融機関がその役割・責任(フィデューシャリー・デューティー)を実際に果たすことが求められる」
2017年1月 金融庁の金融審議会市場ワーキンググループの報告に基づき「顧客本位の業務運営に関する原則(案)」を発表
1.顧客本位の業務運営(Fiduciary duty)を行うための方針を策定し公表する。
2.顧客に対し、誠実・公正に業務を行い、顧客にとって最善の利益を図る。
3.取引における顧客との利益相反の可能性を適切に避ける(販売会社がグループ会社の商品に偏って顧客に商品を勧めるような営業行為などが該当する)。
4.金融事業者は顧客が負担する手数料その他の費用の詳細を情報提供する。
5.金融商品の重要な情報を顧客に正確かつ分かりやすく伝える。
6.顧客の資産状況・取引経験・知識及び取引目的・ニーズに合った商品・サービスの販売・推奨を行う。
7.社員に対する報酬・評価制度を顧客の利益に合う形で制定する。
「信認を受けた者が履行すべき義務」。株主から信認を受けた経営者は利益の最大化を履行すべき義務として取り組むだろう。しかし、金融庁が求めているものは、そのように都合良く解釈された Fiduciary duty ではない。
若者や女性社員を使って、ペテン師のようなリスク資産販売を続けさせている経営層に、“襟を正す”ことを求めている。
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