「半鐘」が鳴らない世界
急速に発達した低気圧が台風並みの暴風を吹かせ「春の嵐」になった。東京など関東では気温が上がり、25度を超える夏日になった。乾燥した強風が吹く日は、火事に気をつけなければならない。昨年の糸魚川大火も、そんな日に起こった。
SNSやネットの片隅に殴り書きされたような投稿は、ニュースでも情報でもないが、大手新聞社が記事にし始める頃というのは、ちょっとした小火(ボヤ)が起きつつあるということだろう。火のない所に煙は立たない。
インターネットサイト「毎日新聞 経済プレミア」が報じている一部を抜粋・要約して引用(文字斜体)。
相続税の節税対策を目的としたアパート・マンション建設が拡大し、アパート・ローン(含むマンション)が急増している。業者が不動産所有者に賃貸事業を提案し、金融機関がローンを提供するというパターンと、銀行が不動産所有者に対し賃貸事業を提案し、業者を紹介するパターンがある。後者のケースで一部の銀行が業者から紹介手数料を得ているという。
銀行の個人向けカードローン残高が急増している。銀行のカードローンは高金利であるなど、実態は消費者金融と変わらないのに、貸金業法で定められた総量規制が適用されず、多重債務対策の抜け穴になっている。銀行は消費者金融大手や信販会社と保証契約を結び、広告宣伝、融資審査、債権回収(取り立て)を事実上委託している。
利益を追求するための経済主体である企業には、実態として「半鐘を鳴らす役割」の人間はいない。小火(ボヤ)が拡大して、延焼、類焼を繰り返しても失火責任はない。むしろ、種火に薪や油をくべ、大きな炎にした者が、企業では出世する。
金融庁、銀行、建設業者、不動産所有者(相続税の対策者)、消費者金融・信販大手、ローン利用者、国交省に国税庁も含めよう。登場する全ての者に瑕疵があると思う。日本社会の縮図のような、日本企業の象徴のような“ボヤ”が発生している。
「企業」カテゴリの記事
- 再び、若きスラッガー(2019.01.15)
- 偶合か(2018.11.23)
- コストカッターの末路(2018.11.20)
- 千載一遇(2018.11.18)
- 餓鬼(2018.08.12)
「柏町9階」カテゴリの記事
- コロナ後の世界 1(2020.05.01)
- 「怒りの葡萄」の時代へ(2020.03.14)
- 辺野古(2018.12.14)