繊維の町・糸の匂い
繊維と書いて“せんい”と読む。子どもたちは読めるだろうか。繊維産業が日本を支えていた時代があった。そんな時代の末期に、繊維の町に産まれ育った。
路地裏のあちこちで、糸繰り機が回る音がした。糸繰り機は「ガシャガシャガシャガシャ」という音を立てて回った。
ある夏の日、短いブザーが鳴って機械の音が止んだ。急に蝉の鳴き声が聞こえてきた。しばらくすると、再び短いブザーが鳴って、機械が動き始めた。「休憩時間だったのか」と気づく。
糸繰り機が動く側では、独特の“匂い”がしていた。繊維の匂い・糸の匂い。その匂いが好きだった。
新しい服を買ってくると、思い切りその服の匂いを嗅いでみる。あの匂いが糸繰り機や町工場や遊び回っていた路地裏の匂いに似ている。あれが見附の匂い、故郷の匂いだ。
【写真】糸繰り機(PIXTA素材写真から)
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