春雷
深夜、激しく鳴り響く雷の音で目が覚めた。「春雷」だ。
春を知らせ、地中の虫たちを目覚めさせる「虫出しの雷」と呼ばれる。
今週、県内には“雷鳴”が轟いた。新潟県に本社を置くトップバンクとセカンドバンクが経営統合(持ち株会社設立)するというニュースは、春雷のごとく県内に響き渡った。全国的にみれば、金融庁が推し進める「地方金融機関の再編・統合の流れ」に沿ったニュースだが、新潟県の経済界、企業、住人にとっては、近年稀に見る激震でもあった。
これまで遠い地域で起こっていた金融機関の再編・統合の雷雲が頭上を覆っている。報道では「持ち株会社を設立する方向」と伝えられる。引き続き両行が存続し、2つが1つになるという事態は当面の間は避けられそうだが…。地方銀行はその名が示すとおり、地方の銀行だ。自行の営業地域と共存共栄すること以外に存在意義がない。
深夜の雷は、すぐそばに落ちたような気がした。稲光を光らせ、雷鳴を轟かせながら、徐々に遠のいて行った。春雷は春の訪れを告げ、虫たちを目覚めさせる。今回の春雷に似た統合劇が、新潟に春をもたらし、新たな命を育んでいくきっかけになるかもしれない。雷の音が響く寝床で、そんなことを考えながら、毛布をかぶりなおして寝た。
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