三屋清左衛門残日録
藤沢周平の名作をテレビドラマ化した「三屋清左衛門残日録 完結編」を観た(時代劇専門チャンネル/BSフジで放送された録画)。
藤沢作品は映画や単発ドラマには向かない。映画やドラマの“制限時間”である90分から150分では物足りないという意味で。藤沢氏は自身の作品の映像化に慎重な人だった。
藤沢ファンの多くは原作を読み、自らの中に登場人物の姿を作り上げる(もっとも、藤沢氏没後20年が経過した現在、原作派は減っているのかもしれないが)。前もってキャストを知っていても、感情移入するまで時間がかかる。その点、連続ドラマには良質な作品が多いと感じる。1週間の放送間隔を置く中で、キャストが主人公と重なっていく。やがて最終回を迎える頃には、主人公とともに演じたキャストにも恋をしている。
自分が感心した演技のひとつに「蝉しぐれ」(2003年・NHK)で、主人公・牧文四郎の父・牧助左衛門を演じた勝野洋の演技がある。藤沢作品だから、という多少のバイアスはあるかもしれないが、勝野洋氏は更に評価されて良い俳優だと思う。自分が最も好きな俳優を選ぶとすれば彼の名をあげる。演技の他にも彼にひかれる理由はいくつかあるが、プライベートを切り売りしないこともひとつある。
藤沢周平氏没後20年。時代劇専門チャンネル/BSフジでは「橋ものがたり」を映像化するという。勝野洋氏がキャスティングされるといいと密かに願っている。
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