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2017年2月20日 (月)

LIVE FOR TODAY

Tenryu_2  「LIVE FOR TODAY」 “今日のために生きる”、“今日を生きる”という意味でいいのだろうか。

 プロレスラー 天龍源一郎の引退までの日々を追ったドキュメンタリー映画 「LIVE FOR TODAY」を観た。プロレスに詳しいわけではないので、彼を含めプロレスを語る資格は自分にはない。「LIVE FOR TODAY」の鑑賞者として感想を記す。 

 天龍源一郎は、全日本プロレスにおいては、ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田に次いで第3の男だった。しかし、あの頃の時間は天龍にとって助走段階だったことを、彼が引退した今になって知ることになった。

 映画は彼の引退までの10ヶ月をカウントダウンしていく構成だった。彼の同世代のライバルや名だたる“戦友”たちが多数登場したが、彼らは脇役に配置された。それは当然だ。主役は現役かつ最前線(最前線とは、興業であるプロレスにおいては“メインイベントを張る存在”)の人物でなければならない。その意味で、この映画の主役はダブルキャストだった。1人は天龍源一郎。そして、もう1人は、その対戦相手となった、現在の日本プロレス界を背負う、若き・強きレスラーたちだったように思う。

 彼はRevorutionという言葉を信条としていた。彼は13歳で福井県から上京し、相撲界で13年を過ごした後、プロレス界に入った。プロレスは長い間、日本人に寄り添ってきたスポーツであり、娯楽だった。しかし、彼の40年に及ぶレスラー生活の中で、プロレス界を囲う壁は崩れ、興行界は激変した。大半の垣根が取り外された時、彼は彼の取り巻く環境に一喜一憂するのではなく、自らが強靱な肉体と共にマットに上がり続けることが、Revorutionだと確信したのではないか。世の中や環境を変えるという変革ではなく、自らの自己革新の道を選び、歩んで来たように思う。その意味では、若いプロレスラーたちが、彼に敬意を持ちながらも、引退間近の彼を、殴り・蹴り・絞める姿、彼の胸板が真っ赤に腫れ、内出血する姿。この姿こそ自らの「天龍革命」が達せられたことの証だと言えるだろう。そして、彼は、彼を支えた夫人への恩返しの時間を持つことも選択したのではないだろうか。13歳で故郷を旅立った少年が家族という故郷に帰る。この選択も、もうひとつの“内なる天龍革命”だろう。

 彼は伝説の死者(レスラー)たちを語らなかった。「先に逝ったプロレスラーそれぞれが、それぞれのレスラーとして生きたことに、賞賛も非難も不要だ」ということを、彼は無言で語っているようだった。 

 天龍引退という縦軸に、日本プロレス界を縦横無尽に走らせ、良質なドキュメンタリー映画として成立させた川野浩司という監督(撮影も同人)も見事だった。

 映画の中でグレート小鹿氏(天龍と同じく、相撲界からプロレス界に転向。74歳の現在も現役)が、「北向き」という相撲用語・隠語があると話していた。「北向きとは、変わり者または拗(す)ねっぽい人のことを指す」と。「天龍は北向きと呼ばれたこともある」と。

 若い頃に読んだ本田靖春氏の遺作は「我、拗ね者として生涯を閉ず」だった。拗ね者に惹かれる。

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