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2017年1月22日 (日)

ババ抜きを繰り返す銀行

 先週の毎日新聞から抜粋して引用(斜体部) 「高齢者を狙い撃ちする外貨建て保険」

 国内の低金利状態を背景に、高利回りの「外貨建て保険商品」が個人向けの売れ筋商品※1となっています。一方で「そんな話は事前に聞いていなかった」という苦情が、特に高齢者の親族からのクレームが広がっている。外貨建て保険は変額保険の一種で貯蓄型商品。生命保険ではあるが、返戻金が為替相場で増減する。複雑な金融商品を販売する際は、80歳以上なら原則、上司の事前承認※2を受けたうえで勧誘し、受注は翌日以降に上司が行うなどのルールが適用される。銀行が支店窓口で保険を販売する「窓販」ルート※3で苦情が増加している。金融庁への苦情は2016年4月から10月までの7カ月間で、前年1年間の2倍を超えている。外貨建て保険を購入したことを知った親族の苦情は「高齢者が株取引の経験もないのに、為替リスクのある保険を販売された。商品内容を理解していたとは思えない」という内容である。解約に独特のルールがあるが、それを理解していなかったという相談もある。外貨建て保険は為替相場によって返戻金が変動するリスクを伴っており、「金融知識が乏しい高齢者が理解するのは容易ではない」と銀行関係者も指摘している。「理解できた」と顧客が言っても※4、あいまいな状態であるというケースは決して少なくない。
 運用資産を保有しているのは高齢者であり、金融機関は高齢者が重要なセールス先になっている。販売する側は、販売額や販売件数などを目標化している※5。商品説明に費やす時間は限られているため、ある意味、顧客に理解してもらえたという見切りが必要になっているのが実情※6だ。「高齢者に販売する際は親族の同席を求めよと社内でも言われるが、若い世代は仕事などで日中には不在であり、結局、高齢者一人に説明するしかない」。銀行員は、こうぼやくが、その結果が苦情だとすれば、責任は販売した銀行員にある※7。「最近の行員は困ったものだ」と経営者は渋面を作るが、経営者が立てた目標が、現場の銀行員を追い立てている※8。今後、この手の商品販売に目標設定することが妥当なのかどうかという点も問われかねないだろう※9。

 ※1 売る側が売れ筋商品(推奨販売)しているだけ。

 ※2 同じ穴の狢(むじな)であり、契約獲得を指示している上司の承認に何の意味があるのか?

 ※3 支店窓口で販売していると誤認しがち。窓口販売しているが、その割合は10%以下ではないか?ほとんどは営業・渉外・お客様係等々と呼ばれる営業員が訪問して販売している。

 ※4 顧客との面談内容を記録した書類が作成される。顧客が商品内容、特に元本割れリスクがあることを理解したと記入される。

 ※5 販売額、販売手数料、販売件数等で過度なノルマ設定が行われている。

 ※6 手数料率の高い特定商品を“推奨販売”が絶え間なく行われている。

 ※7 ケースによっては訴訟に巻き込まれ、退職を余儀なくされる行員もいるが、言い訳にはならない。一方、金融商品の販売に「手を染めない層」も存在する。本部行員、融資関連部署や融資課行員などはそのドロ沼に踏み込まない。

 ※8 低金利・低成長、金融機関の収益環境が改善しない中、目先の手数料稼ぎで利ざや低下による収益減少を補完している。一方で、給与水準は高止まりのまま。

 ※9 現状のノルマ水準を続けるならば、①顧客面談記録書に顧客の署名・捺印を求める ②顧客面談記録書の写しを交付する ③高齢者には親族の同席または同意を義務化する。などの改善が必要。 

 外貨建て保険商品の販売は「顧客の資産運用・資産活用に資するため」等と言うことではなく、銀行の利益確保のため、手数料獲得のため「そのためだけにやっている」といっても過言ではない。

 誰も皆、勝つことだけを信じて賭けを続ける。運が悪いヤツは誰だ。悲劇が起こるまで、その賭けは続く。銀行はババ抜きを繰り返す。

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