バブルの泡
日銀は銀行等による不動産業向けの新規融資額が、今年度上半期に前年同期比14.7%増の7兆706億円に達したと公表した。バブル期を含め上半期として過去最高を2年連続で更新。マイナス金利政策の影響で、不動産関連企業の借入が活発化しているため。日銀は不動産市場の過熱につながらないか警戒している。新規融資額は、銀行139行と265信金の合算。銀行は16.8%増の5兆8943億円、信金は5.4%増の1兆1763億円。東京五輪・パラリンピックに向けた再開発や、不動産投資ファンドに対する融資が伸びたほか、節税目的で賃貸住宅を建設する個人への貸出も増加した。企業の設備投資が勢いを欠く中、地価上昇などを背景に資金需要が伸びている不動産業界は、金融機関の数少ない有望な貸出先になっている。ただ、「積極的な融資が不動産への過剰投資を後押ししている」と、バブル発生を懸念する声も出ている。
記事は非常に自制的で、慎みに満ちている。
日銀は不動産向け融資が「過熱と(供給過剰による)調整と両方向の動きがある」と認識した上で、「大都市圏の一部で投資利回りが低水準となる高値取引がみられ、REIT投信の物件取得が地方圏に広がる動きを見せている」(10.24金融システムリポート)と指摘しているが、「行き過ぎたリスクテイクや信用量の増加といった過熱感は窺われない」としている。
低金利政策が産み出した不動産バブルを同リポートで総括する日が来るだろう。バブルの泡は“かき混ぜた終わった後”に発生する。
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