ドブ川が無くなった
一昨日まで自転車のことを思い出しながら記していて、自分の少年時代が「自転車とともにあったこと」に気づかされた。どんな場面でも、自分の傍らに自転車があった。
「ドラえもん」の中でキャラクター達が集う空き地の風景。コンクリートの土管をベンチ代わりして会話するシーンからエピソードが始まったりする。現在では様々な配慮から、公園の風景に変わっているかもしれない。それは仕方がない。安全に配慮した画づくりの必要があるのだろう。ムキだしの資材置場も見なくなった。そしてもうひとつ、見かけなくなったものがある。
自転車でバランスを崩して、ドブ川に落ちたことがあった。水は黒く、沈殿していた汚泥をかき回したため、強烈な臭いと泥に全身覆われた。泣いた記憶はない。むしろ冷静に考えた。自転車を置き去りにできず、引いたまま1㎞くらい歩いて帰宅した。道中、恥ずかしかったが、隠れることはできなかった。
帰宅すると母は嫌な顔をして、玄関先の水道にホースを繋ぎ、そこで水をかけられた。冷たい感覚だったから、春か秋だったんだろう。夏なら気持ちいいし、冬なら自転車に乗っていないか、凍えた記憶があるはずだ。
下水道が整備され、汚水が流れる側溝は道の下に隠された。水路やドブ川を見なくなった。あの頃、水が流れる音が聞こえるほど水量があった水路には、ほとんど水がない。自分が落ちたあのドブ川は「学校町2丁目のあの辺り」と記憶はあるが、今となっては見つけることはできないだろう。
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