尾崎豊
尾崎豊が亡くなって24年。“カリスマ”であった彼の息子が、彼が逝去した年齢にデビューすることが、NHKの特集番組として取り扱われた。
実家を建替える時、古いレコードを処分した。アイドル歌手のもの、映画のサントラ盤。しかし、彼のレコードは自宅に持ち帰った。彼のデビューアルバム「17歳の地図」は長岡市のレコード店に在庫がなく、父の車に乗せてもらい新潟駅前にあった石丸電気店まで買いに行った。1984年の正月だったと思う。「17歳の地図」は人生で最も多く聞いたレコードだ。
街の風景 はじまりさえ歌えない I LOVE YOU ハイスクールRock'n'Roll 15の夜 十七歳の地図 愛の消えた街 OH MY LITTLE GIRL 傷つけた人々へ 僕が僕であるために
1985年、12インチシングル「卒業」は大手通りのツモリレコードに予約して買った。「卒業」発売までの約1年「17歳の地図」を聴き続けた。彼に心酔し、世の中を斜めに見るようになった。高校1年、2年。ずっとガマンしていた。何かに怒るわけでもなく、親に歯向かうわけでもなく。
この「卒業」で、当時、彼の名を知らない高校生はいなくなった。彼は“カリスマ”になった。
その年の春、にセカンドアルバム「回帰線」が発売。
Scrambling Rock'n'Roll Bow! Scrap Alley ダンスホール 卒業 存在 坂の下に見えたあの街に 群衆の中の猫 Teenage Blue シェリー
カリスマとなった彼は、もう自分のアイドルではなく、若者全員のものになっていた。同じ年の初冬に、3枚目の「壊れた扉から」発売。これ以降、記憶が曖昧になる。17歳の最も多感な時期。思い返しても、自分が最も心を閉ざしていた時期だったと思う。しかし、この頃、彼から少しずつ心が離れて行ったように回想する。
路上のルール 失くした1/2 Forget-me-not 彼 米軍キャンプ Freeze Moon Driving All Night ドーナツ・ショップ 誰かのクラクション
彼は亡くなるまで、ほぼ10年の活動期間で、前半に3枚、後半に3枚のオリジナルアルバムを残している。前半3枚はLPレコードで、後半3枚はCDで手元にある。ちょうどそんな過渡期だった。
1988年 4枚目「街路樹」 核 (CORE) ・ISM LIFE 時 COLD WIND 紙切れとバイブル 遠い空 理由 街路樹
1990年 5枚目「誕生」 LOVE WAY KISS 黄昏ゆく街で ロザーナ RED SHOES STORY 銃声の証明 LONELY ROSE 置き去りの愛 COOKIE 永遠の胸 FIRE レガリテート 虹 禁猟区 COLD JAIL NIGHT 音のない部屋 風の迷路 きっと忘れない MARRIAGE 誕生
1992年 6枚目「放熱への証」 汚れた絆 自由への扉 Get it down 優しい陽射し 贖罪 ふたつの心 原色の孤独 太陽の瞳 Monday morning 闇の告白 Mama, say good-bye
デビュー作と前作のインパクトがあまりにも大きく、3作目以降の曲には創作した歌という印象を受けた。彼の心、彼の血や骨ではなく、彼の能力と才能が創作した曲だと。
完全な私見・偏見だが、彼は大人に操られることを嫌っていた。その大人が例え自分のミカタであっても。彼は大人の言うことを聞き出してから、崩れていった気がする。大人たちの仕組みに翻弄されていった、そんな印象だ。
彼が亡くなって24年。あれは自分が社会人になったばかりの4月末だったことを想い出す。
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