新潟県知事 まだ53歳
新潟県の泉田知事が、4選を目指していた知事選出馬をとりやめると発表。声明文で「政策論とは関係ない報道が続いている」とし、地元紙・新潟日報がロシア航路中古フェリーの購入契約をめぐるトラブルについて事実に反する報道を続けていると、その報道姿勢を批判した。再三にわたって「適正な報道を」と同紙に申し入れてきが、「十分に訴えを届けることは難しい」と判断したという。
均衡が崩れる時、いろんなことが起こる。泉田氏の報道機関に対する主張は、本来、報道機関に求めても仕方のないこと。報道機関は権力のチェックを行うのが本業だ。実際、新潟日報は泉田氏と声明文に対する批判記事を掲載しているらしい。但し、「本来は…」。これまで泉田氏は「適正な報道」がされていたと感じていたのだろう。それなのに、新潟日報が突然、ジャーナリズム精神を発揮した。なぜか?均衡が崩れたのだ。
県政に興味もないが、気になっていたことがあった。遠因になったと推測。 ①県職員による不正・不祥事件が続いた。こういうのはボディーブローのように効いてくる。責任の取り方・取らされ方。新潟県庁・県庁職員は、県内最大のエリート組織。派閥もあるはず。一般企業と何ら変わりはない。 ②県立加茂病院問題。出身地に我田引水的なことは避けたかったのはわかるが、病院の1つくらい、と自分なら思う。大先輩である高齢の市長との亀裂が不信感の端緒の1つとなったのではないか。 ③原発再稼働問題。泉田氏は東京電力に、ある程度の水準はクリアして欲しかったはず。今のままでは、誰が知事になろうと、再稼働などできないだろう。そこに、医療福祉計画未策定問題、ロシア航路フェリー契約のトラブル。
出馬とりやめの判断は正しかったと思う。不戦敗にはなるが、とても現実的だ。そう考える最大の理由は知事の年齢。新潟県(人口で全国15位・面積5位)の知事を3期12年経験し、まだ53歳。中越地震、中越沖地震等により災害対応への経験値は高く、東日本震災による福島原発事故の徹底した検証を求め、柏崎刈羽原発再稼働に慎重姿勢であることから、図らずも知名度を上げた。反原発ではなく、検証に基づいた納得できる安全性の確認と理詰めの説明を求めていただけ。この1点のみにおいても、評価に値する。筋は通した。
権力者としてのおごりがあったことは、容易に想像できる。3期12年やれば、どんな部門においても、自分が一番知っている。だが、権力者とはそんなものだろう。もっと卑劣な権力者を、サラリーマンなら身近に知っているはずだ。今回は組織、職員、そして報道機関の権力監視機能が働いたということ。「新潟州構想」など、発信力ある知事だった。繰り返すが、若さが魅力。あと3期やったとしても、次期知事と目される人よりも若い。社会の主流は、勝ち馬に乗ろうとする。新潟県は新潟県だけで回せる地域性もある。閉鎖的だ。そんなこと十分にわかっているからこそ「立候補取りやめ」か。国政に転じれば良いと思う。